①免責通知②全部(一部)免責の取扱い③代位弁済金の返還 信用保証協会の保証は民法上の保証であるとするのが通説・判例です。したがって、信用保証協会の保証債務についても、原則として民法の保証規定が適用されます。 民法では、保証債務はその附従性から、主たる債務に係る契約が無効となったときには無効となり、主たる債務が取消等により消滅したときには消滅するとされています。 また、債権者において一定の事由に該当する場合には、保証人が保証債務の履行を免れる旨が定められています。民法455条(催告・検索の懈怠の場合)と民法504条(担保保存義務違反の場合)とがそれにあたります。 一般的なこれら保証債務の無効・消滅・免責等の原因は、信用保証協会の保証にも当てはまりますが、「約定書」(各金融機関と信用保証協会との間で締結されている包括的な債務保証契約)において、この民法規定を修正・拡張あるいはこれに追加する形で、信用保証取引における独自の免責事由が特約されています。これがいわゆる「免責条項」と呼ばれているものです。 免責条項は、次のように規定されています。 このほかにも信用保証協会が保証債務の履行を免れる原因として、①信用保証協会が保証承諾(信用保証書の発行)する前に貸付実行した場合(約定書第1条による保証契約の不成立)、②信用保証書の有効期限を経過した後に貸付実行した場合(約定書第2条第2項)、最終履行期限(期限の利益喪失日を含む)後2年を経過した後に信用保証協会に対して代位弁済請求をした場合(約定書第7条)などがありますので、ご留意ください。(免 責)第11条 甲(信用保証協会)は、次の各号に該当するときは、乙(金融機関)に対し保証債務の履行につき、その全部または一部の責を免れるものとする。 ⑴乙が第3条(旧債振替の制限)の本文に違反したとき ⑵乙が保証契約に違反したとき ⑶ 乙が故意若しくは重大な過失により被保証債権の全部または一部の履行を受けることができなかったとき 免責事由に該当した場合は、信用保証協会から金融機関に対して「免責通知書」を発出することにより、保証免責となる旨が通知されます。同通知書には、その適用根拠を明確にした免責事由や免責金額が記載されています。 保証免責事由が生じた場合は、信用保証協会からの特段の意思表示を要することなく、その時点で信用保証協会の保証債務は消滅することとなります。したがって、一部免責となる場合は、保証免責事由発生時に信用保証協会の保証債務が一部消滅し、その消滅後の元本残額に当該元本残額(注)をもとに計算した期中および期限後120日以内の利息を加えた額が代位弁済金額の上限となります。(注) 一部免責事由が発生した後、貸付金の一部について弁済があった場合、その弁済金は保証部分に原則として優先充当されます。 免責事由の発生が代位弁済後に判明した場合は、金融機関は代位弁済金のうち保証免責相当額を信用保証協会に返還しなければなりません。もちろん、代位弁済前に判明した場合には、代位弁済は行われません。❶免責手続きについて代位弁済請求!!ワンポイント その■9保証協会付融資(マル保融資)が免責されないための留意点65
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